ネットワーク基礎2
■IPアドレス
IPアドレスはネットワーク上での機械を識別するための識別子です。
●IPアドレス種類
IPアドレスには32ビットを4つに区切り、10進数で表現するIPv4と、
128ビットを8つに区切り、16進数で表現するIPv6があります。
現在はIPv4が主流ですが今後IPv6が主流になっていきます。
例:
IPv4:192.168.0.1
IPv6:2001:0db8:1234:5678:90ab:cdef:0000:0000
●IPアドレスの分類
IPアドレスはインターネット上でネットワークの所属を識別するために使用する
グローバルIPアドレスと、LANなどの外部からアクセスできないネットワークで
使用するプライベートIPアドレスがあります。
プライベートIPアドレスからインターネットにアクセスする場合は
途中でグローバルIPアドレスに変換されます。
■グローバルIPアドレス
グローバルIPアドレスはインターネット上の所属を示すための識別子で、
重複することがないユニークな番号が割り振られています。
このグローバルIPアドレスを使用することでルーターの最終通信地点を割り出すことができます。
●グローバルIPアドレスの割り振り:
グローバルIPアドレスを取得するにはICANNという
IPアドレスを管理している団体の下部組織(NIC)から
IPアドレスの委託を受けているISPの会社に申請、契約を行う必要があります。
日本でIPアドレスを取得する場合は基本的にISPの会社に申請します。
日本のISPの会社はNTTやKDDIなどのいわゆる電気通信会社が多く
それらの会社に申請をすることによりIPアドレスを取得することが可能です。
ICANN(The Internet Corporation for Assigned Names and Numbers:アイキャン):
ICANNはアメリカで設立されて民間の非営利法人の組織で
IPアドレスの割り当てや方針の取り決めを行っており、
下部組織にNICがある。
NIC(Network Infomation Center:ニック):
NICはグローバルIPアドレスの割り振りを行う団体で
ICANNの下部組織にあたる。
大規模な支部が世界中に5箇所あり、
各支部毎に下部組織をもっている。
基本的に各国に1つはNICの団体がある。
JPNIC(ジェーピーニック):
社会法人日本ネットワークインフォメーションセンターのことで、
日本国内のグローバルIPアドレスの割り当てやインターネットに関する
研究、調査等を行っている組織。
ISP(Internet Service Provider:アイエスピー):
インターネット接続事業者のことで、様々な回線(ISDN、ADSL等)を通じて
企業や家庭のコンピュータをインターネットに接続できるようしてくれる。
JPNICに対してグローバルIPアドレスの割り当て申請を行う。
●IPアドレス内の情報:
IPアドレスは32または128ビットの中にネットワークの所属情報と、
そのネットワーク内で何番目のコンピュータかということを識別する情報があります。
このネットワーク所属情報の部分をネットワーク部、
ネットワーク内のコンピュータ番号のことをホスト部とよんでいます。
●アドレスのクラス:
昔のIPアドレスの割り当てはA~Eのクラスで分けられていました。
このクラス分けは管理するコンピュータの規模によって分けられています。
●クラス割り当てによるIP枯渇問題:
IPをクラス単位で割り当てる方法は、割り当て個数が大雑把過ぎたため
使用されていないと思われるIPがいくつも存在することになりました。
例えば1000台にIPアドレスを割り当てたいと考えている会社Aが
IPの割り当て申請をした場合、Cクラスでは数が足りないのでBクラスが割り当てられます。
Bクラスは65000個のIPを使用できますので、A社では実質64000個の未使用IPが
存在することになります。このような無駄と思えるIPの割り当てが多発し、
割り当てていないIPアドレスが枯渇することになりました。
この現状を打開するためにIPv6への移行やCIDRと呼ばれる手法が実施されています。
●IPv6への移行問題:
IPv4のIPアドレスが枯渇している現状からビット数を4倍にした
IPv6への移行は急務になっています。
しかし現在使用されているIPv4とIPv6では互換性がなかったり、
IPv6は数が多すぎるためIPの検索に時間がかかるなど、
様々な問題が発生しているためIPv6の普及はあまり進んでいません。
●CIDR(classless Inter-Domain Ruting:サイダー):
CIDRは従来のクラスによるIPアドレス割り当ての方法を捨てて、
必要な分のIPアドレスを割り当てられるように考えられた方法です。
CIDRはサブネットと呼ばれる手法を応用していますので、
サブネットの説明から行いたいと思います。
・サブネットとは
サブネットとはIPアドレスを細分化するための手法で
ホスト部のビットの一部を使用します。
この方法はクラスによるIPアドレス割り当てが
行われていたころに考えられた方法で、
多すぎるIPアドレスを整理するために使用されていました。
上記のIPアドレスの表記方法は、192.1.1.130/26 となります。
ネットワーク部は変わりませんが、最後の8ビットは
サブネット部とホスト部を合わせた値になります。
また、アドレスの後ろの「/26」はサブネット部とネットワーク部の
合計ビット数になり、このビット数のことをプレフィックス長と呼んでいます。
IPアドレスからネットワーク部とホスト部を調べるための方法として
サブネットマスクと呼ばれるものがあります。
・サブネットマスク
サブネットマスクはネットワーク部とサブネット部を合わせたビットと
ホスト部の境界を示すために使用する値のことです。
サブネットマスクはネットワーク部とサブネット部を1、ホスト部を0に設定します。
例:192.1.1.130/26のサブネットマスク
11111111 11111111 11111111 11000000 (2進数)
255.255.255.192(10進数)
・CIDRの内容:
CIDRはサブネットと同じようにIPアドレスをネットワーク部とホスト部に分けて、
ホスト部の長さをプレフィックス長で示しています。
例えば125.6.176.32/30というIPアドレスの場合
ネットワーク部は30ビットでホスト部は2ビットとなります。
このプレフィックス長を利用してしてサブネットマスクを作成し、
ネットワーク部を割り出します。
サブネットとCIDRの違いは以下のようになっています。
サブネットはあくまで複数あるグローバルIPアドレスを
LANの中で細かく管理するために使用されているので有効範囲はLANの中のみになり
通信時もルータにマスク情報を通達する必要はありませんが、
CIDRはNICがグローバルIPアドレス発行する際に
必要最低限の数を割り当てるために使用します。
ですので、ルータを通じた通信の際もマスク情報を一緒に通達して
ネットワーク部を知らせる必要があります。
■プライベートIPアドレス
プライベートIPアドレスとはLANのようなローカル環境内で
自由に割り当てることができるIPアドレスです。
このIPアドレスはネットワーク内でIPアドレスの重複がなければ問題ありません。
ただしプライベートIPアドレスではLANの外のコンピュータとの通信は行えませんので、
必ずグローバルIPアドレスを用意する必要があります。
■グローバルIPとプライベートIPの関係
現在のインターネットの主流はルーターだけがグローバルIPを持ち、
LAN内ではプライベートIPアドレスを使用することでグローバルIPアドレスの枯渇を防いでいます。
LAN内のコンピュータがインターネットを行う場合はルータによって一時的に
グローバルIPアドレスが割り当てられます。