仕事の選び方


概要

今回は仕事の選び方について書きたいと思います。
毎年「○○が面白くないからやめる」「○○をやりたくないからやめる」
「○○ができないからやめる」といってゲームクリエイターになることを
あきらめる学生が多数います。

学生たちが悩んだ末に出した結論だと思うので、無理に引き留めることはしませんが、
そういった相談を受けたときに話していることを書いてみたいと思います。

※個人的な見解になりますので、参考程度に読んでもらえたらと思います。

仕事の選び方

仕事を選び方に関して、様々な考え方があると思います。
私は東進ハイスクールの林先生の仕事論が非常に共感できましたので、
その時の説明で使用されていたマトリクスを使いながら説明をしていきます。
林先生いわく仕事のスタンスを下の図のようなマトリクスで考えた時に
「できる、できない or やりたい、やりたくない」の
どちらの軸で考えるかが人生の分かれ目となるそうです。
※「やりたい、やりたくない」は主観、「できる、できない」は客観的な判断が含まれます。

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林先生は「できる、できない」で仕事を選ぶ方で、
「やりたい、やりたくない」で仕事を選ぶ典型はスティーブ・ジョブズだそうです。
ジョブズは仕事論について以下のような名言を残しています。
    私は、本当に好きな物事しか続けられないと確信している。
    何が好きなのかを探しなさい。あなたの仕事にも、恋人にも。
この言葉から継続の秘訣は好きなことをやることだという考えが伝わってきます。

仕事選びという意味では自分の人生なので①~④のどれを選んでも問題ないと思いますが、
ほとんどの人はやりたいことかつできることにあたる①を仕事にしたいと考えるはずです。
ただ、数ある仕事の中で①の仕事に巡りあえるかは分かりませんし、
もし①の仕事をしていたとしても、もっとやりたいことがあるんじゃないか、
もっとできることがあるんじゃないかと考えるかもしれません。
または、そもそも①の仕事をしていると気づいていないかもしれません。

では、「①に巡り合えない場合、①に巡り合うまでの繋ぎ、生活するために
②と③のどちらを選んで仕事しますか?」と聞かれたらみなさんはどちらにしますか?
林先生や私は②を、ジョブズは①に巡り合うために様々な事に挑戦し続けると思うので
ここでは③とします。
ちなみ、この答えに対する正解はありません。
上でも書いていますが、自分の人生なので①~④のどれを選んで仕事をしても問題ありません。
ただ、②と③の場合、収入などの面で差が出る可能性があるので、その理由を説明します。

信頼と収入の関係

仕事、特にクリエーターやエンジニアの世界では「信頼の高さ = 収入の高さ」に
なっていることが多いです。
信頼の高い人たちはクライアントや会社、チームから「クオリティの高いモノを作ってくれる」
「スケジュールをきちんと守ってくれる」「要望を出来る限りくみ取ってくれる」など、
客観的な評価として「この人はできる、やってくれる」と判断されています。
できると判断された結果、その人を他のプロジェクトや会社に流出させないようにするために
お金という形で信頼の高さを示して縁が切れないようにします。
出来ない人はその逆で、その人を失ったとしても損失は少ないと判断されるので、
給与や単価の面でも低い額が提示されやすいです。
もちろん、できると判断されて仕事がまわってくるので、
しっかりとその期待に応える必要はあります。

前者がマトリクス上の「①または②」、後者が「③または④」に当てはまります。
このことから、「やりたくないけどできると思われてるからやる」人は
高収入が期待でき、仕事も途切れることなくまわってきます。
反対に「できないけどやりたいからやる」人の場合は、
仕事が来ない、金銭的につらいなどの状況になり、
その仕事を継続することが困難になったり、不満に思う可能性が高いです。

仕事のスキルを考える

仕事選びが済んだら、次は選んだ仕事で生活できるかを知るために
その仕事に必要なスキルを考えて洗い出してみてください。
そして、洗い出しが完了したら、先ほどのマトリクスにあてはめてみます。

例えばゲームプログラマーを例として場合「プログラム力」「ゲームアプリ技術」
「ゲームエンジン技術」「ゲームツール技術」「数学」「英語」
「コミュニケーション力」「スケジュール管理力」などが考えられます。
これらの項目をマトリクスにあてはめてみたパターンを紹介します。
まずは仕事としてきちんと収入を得れるパターンです。

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次は、仕事として収入を得ることが厳しいパターンです。

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ゲームプログラマーとして仕事を行うにはゲーム開発技術のどれか、
またはプログラム能力が出来る側にあることが収入を得るために必須で、
そこに他のスキルができるとなっていれば、ゲームプログラマーとして
生活をできる可能性は高いです。
※新入社員の場合はプログラム能力よりもゲーム開発技術に重きがおかれます。

他の仕事も同じで、その仕事のために必要なスキルがあり、
それができると認められたらその仕事で生活する、成功する可能性が上がります。

やりたいことしかやりたくない人は、その仕事の必須スキルを考えて
その中で一番やりたい仕事をできる側に引き上げることで、
やりたい事をメインとして仕事ができる可能性が高くなります。
それが何かを知るために一度マトリクスを作って考えてみたらいかがでしょうか。

全てをやりたい人は少ない

ゲームプログラマーの例のように仕事一つをとっても必要とされるスキルは複数あります。
そのスキルが全てやりたい事として仕事をしてる人はいないとは言いませんが、
非常に数が少ないことは間違いないと思います。
技術職の人は、作業に没頭するあまりにスケジュールやコミュニケーションが
おざなりになりやすい傾向がありますし、企画職の人でプレゼンや企画書の資料を作ることは
好きだけど、それを周りに向けて喋るのは嫌いという人もいました。

やりたくない仕事を振られた場合、トップの人ほど「信頼されているからやる」
「やりたいとやりたくないは別」という考えで仕事をこなしていたり、
「できないことは他人に回して、できることだけをやる」など、
プロジェクトがマイナスにならないように行動(特に後者)されている印象が強いです。
仕事自体をやりたくないというわけではなく、その中の一部のスキルについてやりたくない人は
その部分に対して割り切るか、回避するためにうまく立ち回ってみたらいかがでしょうか。

やりたくないスキルの必要性を考える

やりたくないスキルが仕事内でどれほど必要なのかを考えてください。
もし、やりたくないスキルがメインスキルになっているのなら
仕事をやめる、またはあきらめることは仕方がないと思います。
しかし、やりたかった、またはやりがいの仕事について仕事をしていたはずなのに
一部のスキルをやりたくないだけでその仕事全体を嫌になり、
やめるのはもったいないです。

特に学生に多いのですが、一部のスキルが嫌い、やりたくないから
その仕事をあきらめると考える人がいます。
その時は、そのスキルが絶対に必要かどうかを考えてみてください。
もし、別のスキルを特化してもやっていけるならば、そちらを特化すればいいし、
仕事で使う割合を考えてみて、低い割合でしか使わないなら
その時だけ割り切るのも一つの手だと思います。

できれば評価される

当たり前の話しですが、何を行えば誰かが評価してくれます。
きちんと結果をだせば、良い評価をもらえます。
その評価はその人のその仕事に対する「やりたい、やりたくない」などの感情や
仕事を終えるまでの過程は含まれず、結果で評価されます。
それが学生ではなく、賃金を得ている社会人の場合は特にです。
もちろん過程も評価対象になると思いますが、それでも結果がでていなければ、
中々評価はされないのが現実です。

良い評価をされれば承認欲求が満たされるので、それによってモチベーションがあがります。
次に同じ事をやる場合、やったことを評価された記憶から再度評価されたくて、
しっかりとやるべき事を完遂します。
それがまた良い評価をされて、モチベーションが上がるというループが完成します。
この誰かに「良い評価される、褒められる、認められる」ことのメリットはもう一つあり、
例えそれが嫌い、苦手なことでも、承認されたくてやりきることができるようになります。

逆に悪い評価をされる人は承認欲求が満たされないので、向いていないと考えたり、
ネガティブな思考に陥りやすくなって、モチベーションが維持できなくなり、
好きだったことができなくなる可能性があります。

合わないならやめる

就職したら仕事以外の要因(上司や周りの人間関係や職場の雰囲気、仕事の時間など)で
大変な思いをすることがあります。
仕事としての苦労はある程度した方が、スキル的にも人生経験的にも
プラスになると考えていますが、パワハラやセクハラ、残業の強制、職場いじめなどの
仕事とは直接関係がないことが原因で職場の環境が合わないと判断したら
さっさとやめて、次の仕事を探してください。
将来のために数年のガマンして、その結果として将来がつぶれるのは残念すぎます。

まとめ

何の仕事を選ぶかは自分の人生なのでどれを選んでもいいと思います。
ただ、その仕事に求められているスキルがあり、そのスキルの能力を
周りがどう判断しているかで、その仕事を続けていけるのか、
高い収入を得ることができるかが決まりやすいということも確かです。
なので、好きな事、やりたい事を選んでそれを仕事にして生活をしていきたいのなら
求められているスキルを周りが認めるレベルまで伸ばすことが続けていく秘訣です。

そして、一部のスキルのせいで、その仕事全体を嫌いになるのはもったいないので、
そのスキルの事をやらなくていいように別のスキルを伸ばしてみてください。
そうすれば、利益的な事を考えて会社やクライアントは
あなたに対して得意なスキルが活きる仕事を振ってくれる可能性が高くなります。

重要なのはやりたい、やりたくないに関わらず、しっかりとしたクオリティで
仕事をやりきれば、周りから良い評価をもらえます。
「良い評価をしてもらう、褒められる、認められる」ことで、承認欲求が満たされます。
承認欲求が満たされたことで仕事に対してのモチベーションが向上します。
その結果、やりたいことは精力的になり、やりたくないことは乗り越えやすくなります。
この循環を作るために、仕事で求められるスキルをしっかりと把握して、
それらを周りからできると思われるようにしていけば、
どの仕事を選んでもやっていけます。

最後に、職場の環境が合わない、このままでは潰されると判断した場合は
できる限り早く辞めて、次の就職先を探してください。
その会社、仕事だけが全てではありません